2016年05月27日
外国人介護人材受け入れ可能になるという「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案(内閣提出、第189回国会閣法第30号)」が会期中の国会での可決が難しくなったという情報が飛んでいます。
送り出しの立場からすると、既存の技能実習制度と外国人介護を同じにすることから問題のような気がします。技能実習制度の場合、お金を稼ぐのが実習生第一の目的であるのは疑う余地はありません。
お金を稼ぐことが目的で建設現場や工場、農水産業の現場で3年間という区切りのある中での仕事であれば続くと思いますが、介護は全く異なってくると思います。
介護現場ですと、まず、日本語ができないと仕事ができません。そして、技術より心が大切になってきます。普通に考えると、お金目的だけで介護職は3年間続かないと予想できます。
同じ技能実習生といっても、介護職の場合は候補者を集め、本当に介護職が3年間勤まる心を持っているかどうか、というところが、とても重要になってくることになります。
弊社では、日本へ行き介護技術を勉強したいミャンマーの方々を、全国のミャンマー医師会・看護師会を通し集めています。
それだけでなく、日本は過酷な現場ですので、日本語教育を始める前に1か月間の地方の介護施設で体験をしてもらうスキームを取り入れています。
先日、この現場に行ってきました。ヤンゴンから4時間ぐらい離れた介護施設。集団で働き生活。皆であらゆることを協力しなければなりません。話を聞いてみると、入居者の入歯がなくなったとのことで、トイレの便器の中に手を突っ込んで探したスタッフもいました。頼もしいものです。
実はこの研修前1か月間は介護の基礎知識の勉強をミャンマー語で行います。
現在介護施設で研修している二期生は合計19名。入学当初はは28名でした。研修に参加しなかった9名のうち、5名は日本ではなくミャンマーでの介護職就職を希望。残りはシンガポールやフランスに行くといって日本語勉強クラスにはすすみませんでした。
高齢化で困っているのは日本だけではありません。
台湾やオーストラリアなどもミャンマー介護人材を求めてやってきています。
日本は外国人介護人材受入後のことを心配していますが、それは当然のこと。日本が受け入れるといっても、本当に介護技術を学びたい人が日本を選んでくれるかは別の問題。日本での研修を魅力的にすることが実は最も大切だと感じています。法案審議の議事録をみましたが、そこに言及している質疑はみられませんでした。しかも、法案通過せず先送り・・・世界の流れに逆行しています。
弊社が研修を行っている介護施設では、増築を予定していました。周辺の街から介護施設の拡張の希望が多いからだそうです。ミャンマー国内で介護人材が新たな雇用の受け皿になる日は我々が想像するより早そうです。
カテゴリ:会社関係,実習生・グルーバル人材