ミャンマー人日本語教師向け日本語教育講座の一般公開セミナーとしてはミャンマー初めてのセミナーをスリーエーネットワーク社のご厚意で開催することができました。
日本からは「みんなの日本語」の監修者で制作の中心者である石澤弘子先生をお迎えしてのセミナーは、制作の背景やその意図など、制作者ならではの説得力ある内容に、とても勉強になりました。
奇しくも、日本の国会にて海外人材受け入れ拡大法案成立した日にスタートというのも偶然ではなく必然のように思われました。日本で成功する外国人材のポイントは日本語力。その日本語力を育てる、日本語教師の質が最大のポイントになります。
これまでは、教えてもらった先生と同じ教え方をするというのが主流で、正しいとは言いにくい教え方が普及してきました。
『みんなの日本語 初級1』は、1日1課三時間、5週間で25課を学習するため作られ、『初級2』は、職場で働きはじめ5週間で25課を学習するために作られたそうです。
さらに日本語教師として
「生徒にわかりますか?と質問してはいけない(質問されない授業をする」
「生徒から質問されない授業(質問されないように教える」
「教科書を使わせない(学生には下ではなく前を向かせ教科書を使わない授業、教科書は復習用」
等々、現場ならではの教育法が伝えられました。
今回の『みんなの日本語』教師講座には、ヤンゴンでは183名、マンダレーでは102名の日本語教師の方々にご参加頂きました。
セミナーを共催して頂いた、株式会社スリーエーネットワーク社、後援して頂いた、国際交流基金、AOTS、MAJA(ミャンマー元日本留学生協会) の方々にあらためてお礼申し上げます。
教科書購入者も多く、今後は一流の国を目指しコピーを廃絶、オリジナル教科書をどんどん普及していければと思います。
下記プレスリリース文章です。
外国人のための日本語学習教材の出版社 株式会社スリーエーネットワーク(本社:東京都千代田区)と提携し、『みんなの日本語 初級I』を2018年7月25日からミャンマーで販売しているミャンマー人専門人材・派遣会社 株式会社ジェイサット(本社:ヤンゴン、以下 J-SAT)は、『みんなの日本語』発行20周年、J-SAT設立20周年を記念し、ミャンマー人日本語教師を対象に、マンダレーとヤンゴンにて『みんなの日本語 初級I』教え方セミナーを開催します。
みんなの日本語初級1(ミャンマー版)
■世界中で使われている日本語教材『みんなの日本語 初級I』の教え方から教育法を変える
『みんなの日本語』は世界中で広く使われている日本語教材として知られており、ミャンマーでも9割以上の日本語学校で使用されています。ミャンマーの教育法は暗記教育が中心で、日本語の教え方もミャンマー独特な暗記方法での教育法が一般的になっています。そのため、より実践的な会話力などが弱いといわれており、教え方が大きな課題としてあげられてきました。
今回は、『みんなの日本語 初級』監修者である、石澤 弘子先生から、『みんなの日本語』の特徴、効果的な教え方を、ミャンマーで日本語を教えている先生方に具体的にお話して頂きます。
■セミナースケジュール
<マンダレー>
2018年12月8日(土)9~12時(受付開始8時30分~) Hotel Mandalay
<ヤンゴン>
2018年12月9日(日)9~12時(受付開始 8時30分~)Sakura Tower 20階
2018年12月9日(日)14~17時(受付開始 13時30分~)Sakura Tower 20階
参加費:無料
※ セミナー3回開催されますが、いずれもミャンマー語通訳付で内容は同じです。
講師 :石澤 弘子(元・目白大学、元・AOTS、『みんなの日本語 初級』監修者)
〇株式会社スリーエーネットワーク
1973年に主に産業技術研修生のための日本語教科書『新日本語の基礎』(財団法人海外技術者研修協会編)を発行する会社として発足し、今年45年目を迎えました。今まで日本語教材を中心に英語教材や外国語教材も出版してきましたが、中でも『みんなの日本語』シリーズは日本語総合教科書として、国内外で広く採用されています。
■ミャンマーでの日本語学習者が10年で10倍に急増中
日本語学習者にとって馴染み深い日本語能力試験(通称 JLPT)は、2015~2017年までは、7月にマンダレー、12月にヤンゴンと、各都市で年1回ずつのみ本試験が行われていましたが、応募者増加に伴い、2018年度よりヤンゴンとマンダレーでそれぞれ7月と12月に行われることになりました。今年7月の受験申込者数は20,000人を超え、ミャンマーは世界でも5番目に受験者が多い国になりました(参考:1位 中国、2位 韓国、3位 台湾、4位 ベトナム、5位 ミャンマー※)。急増した原因としては、技能実習制度をはじめ、日本への就労、就学目的が一般的と考えられています。ミャンマー国内経済が低迷する中、今後さらに増加すると予想されています。
※ JLPT(日本語能力試験)受験者数参考
■日本語学校は急増するも不足する日本語教師
日本語学習者が急増する中、日本語学校も次々と設立されてきており、すでにミャンマー国内に300校近くあるという報告もあります。一方で、日本語教師不足が深刻で、日本での外国人雇用、外国人留学生が急増する中、日本国内でも日本語教師の採用は困難になっており、ミャンマーでも日本人の日本語教師を採用することは難しい状況になっています。また、ミャンマー人日本語教師も足りておらず、日本語が十分に話せなくとも日本語を教える学校も出てくるなど、その質が問題視され始めています。ミャンマー国内には、日本語教師を養成する学校は存在しておらず、このような環境の中、国際交流基金は今年12月から日本語教師育成プログラムを行うことになりました。
■『みんなの日本語』コピー版を一掃、オリジナル教材の普及
世界で広く採用されている日本語教科書『みんなの日本語』は、これまでもこの教材はミャンマーでも発売されていましたが、すでに広まっているコピー版との価格差から伸び悩んでいました。「日本語を初めて勉強するところから、コピーではなくオリジナル教材で学んで欲しい」目的で、J-SATは外資系としては初めて出版ライセンスを取得。コピー本にはない解答集やCDをつけ、コピー本とあまり変わらない4,500チャット(約400円)で販売を開始しました。すでに『初級II』も販売開始しており、今後は『新完全マスター』(日本語能力試験対策シリーズ)など人気教材を中心に順次ミャンマーで出版し、コピー教材の一掃を加速させていきます。